簿記の流れ
試験では、簿記の一連の流れをきちんとイメージできていることが重要です。
細かいところを気にしだすと、深い迷い道にはまってしまいます。なので、まずは、大きくザックリと全体像をおさえることがポイントになります。
簿記には、①毎日すること、②毎月すること、③毎年することがあります。
①毎日すること
会社では、毎日、商品を顧客に売っています。また、商品を売りためには、まず商品を仕入れなければいけませんし、お店の水道光熱費やアルバイト・パートの方に給料を支払っています。
この会社の日々の活動を取引といい、取引が発生したときにそれを帳簿にメモすることを仕訳(しわけ)といいます。
例えば、「商品を2,000円で売って、代金は現金で受け取った」という取引が発生したときの仕訳は次のとおりです。
(借方)/(貸方) 現金 2,000/売上 2,000 |
仕訳をメモしたら、それを総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)に移します。メモの内容をコピーして移すことを転記(てんき)といいます。
総勘定元帳は、「現金」や「売上」といった、科目ごとに金額をメモする帳簿です。
仕訳は日付順にメモしていきますが、総勘定元帳は科目ごとに金額をメモします。
さっきの「商品を2,000円で売って、代金は現金で受け取った」という取引であれば、総勘定元帳の「現金」と「売上」に次の通りメモします。
②毎月すること
毎日、「仕訳」から「総勘定元帳」などに転記をしていると、結構なボリュームになります。そのため、間違っていることがあります。
この転記作業をし続けて、もし間違った作業をしてしまっていたときにあとで間違いの原因を調べるとかなり手間がかかります。
なので、一般的には、1か月ごとに試算表(しさんひょう)という帳簿を作成して、転記ミスがないかどうかを確認します。
試算表は、総勘定元帳の情報をベースに作成する帳簿です。試算表には3つの種類があります。①合計試算表、②残高試算表、③合計残高試算表です。
①合計試算表
総勘定元帳の科目ごとに借方(左側)の金額の合計と貸方(右側)の金額の合計を記入します。
②残高試算表
総勘定元帳の各科目について、残高のみを記入します。残高は、借方と貸方の差額です。右側の方が金額が多かったら、右側のみ記入します。
③合計残高試算表
合計試算表と残高試算表をあわせたもので、合計金額も残高もどちらも記入します。
③毎年すること
会社は、一定期間ごとにどれだけ儲かったかや資産がどれぐらいあるかを計算して確認する必要があります。例えば、税金を納付するために1年間でどれだけ儲けたかを計算する必要があるのです。
税金は儲けた部分に対して、かかってくるので1年間の儲けを損益計算書(そんえきけいさんしょ)という書類を作成して計算します。
また、会社の株主に対して、いま資産がいくらあるのか、負債があるのかを報告するためには貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)という書類を作成します。
税金計算をするための一定期間は1年ですが、この一定期間を簿記の世界では、「会計期間」といいます。この会計期間の最終日を決算日(けっさんび)、会計期間の初日を期首(きしゅ)といいます。
会社の場合は、会計期間や決算日を自由に設定することができますが、お店(個人事業主)の場合は、1月1日から12月31日までの期間とすると決められています。
決算日になると、損益計算書や貸借対照表を作りますが、まずは、決算整理手続をすることになります。決算整理では、今年に計上すべきものであるのに、まだ計上されていないものや来年に計上すべきものがすでに当期に入っているもの等を調査して、適切な処理へ修正します。
決算整理がまとまれば、精算表という帳簿にまとめていきます。決算整理前の試算表
→決算整理→損益計算書・貸借対照表という流れでまとめていきます。